不動産取引

意思表示について

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意思表示について(06.07.22) 当サイトのコラム“売買契約の基本”にて 「民法では、売主と買主がお互いに意思表示し合致したら契約が成立・・」 とご説明致しました。 では、この意思表示に何かしらの不完全な要素があるなど問題がある場合、 その効力はどうなるのでしょうか。 ◆意思表示そのものに問題がある ・心裡留保 当事者の一方が真意とは異なる意思表示をした。 (例:冗談で契約の申し込みをした)    ↓ 相手方を保護するため有効 (例:これを無効にしたら、ふざけた人達によって社会は滅茶苦茶になってしまいます。冗談で片っ端から申し込みをするなど)    ↓ しかし、相手方が知っていたか知り得た場合は、無効を主張できる (いきなり無効ではなく、無効を主張できる)    ↓ 善意の第三者※には、どちらの場合でも無効を主張することができない (無過失な人を最優先で保護するため) ※善意の第三者とは、何も知らずに関係者になった人です。 友人同士の場合などでは、このようなケースもありえるのでしょうが、 不動産業者が介在した場合、社会的営業活動で行っているので、 冗談で申し込みをしたなどという言い訳は通用しないでしょう。 さらに、売主側は買主側の事情をしらないので、なおさらだと思います。 こんなことはしないと思いますが、軽はずみな行動はしませんように。 ・虚偽表示 当事者の両方が共謀して真意と異なる意思表示をした。 (例:架空売買)    ↓ お互いに真意ではないので無効    ↓ 善意の第三者には通用しないのは上記と同じ。 一般の方は、よほど経済的な利益がなければやらないと思いますが、 ちょっと知人に頼まれて架空売買に加担した時、知人があなたを裏切って、 他の人を巻き込み、多大な被害にあうようなこともあるかもしれませんので、 こういうことには手を出さないように。 ・錯誤 重要な部分について思い違いをしていた。    ↓ この場合は無効になる。 ※重大な過失がある場合は認められない。 ※意思表示の動機の際は、それが事前に表明されている時に限る 錯誤に該当することではないのですが、同じようなケースで、不動産購入にあたり、 物件選定の決め手となるような事柄を不動産業者に伝えていた場合、 それを覆す内容があるにも関わらず、十分な説明をしないと 不動産業者はペナルティを課せられます。 大事なことは必ず不動産業者に伝えるようにしましょう。 意思決定の決め手にならない些細な部分までは厳しいかもしれませんが、 そうすることによって、不動産業者はその部分を守る責任が生じます。 (ので、その部分を意識を持って営業します) 逆に、大事なことを黙っていたら、法律では守ってくれません。 黙っていることが過失になり、知らないことまで責任を取れというのは 酷だろうということです。 後から、実はこれこれだからと言うのは通用しないということです。 このことから、不動産業者に取引(物件探し、売却活動も含め)を依頼する場合、 事前によく打ち合わせをすることが大事になります。 いきなり、こういう物件を探してくれと条件提示して、探してもらって、 購入した後、実はこういう事情・要望があってと言っても、 不動産業者は聞いていないのだから知らないとなってしまいます。 逆に言えば、プロとして、大事なことを最初にきちんと 聞き取りをするようにしなければいけないということです。 ・強迫(民法ではこう書きます、脅迫は刑法的な時) 相手方によって強迫され意思表示をした。    ↓ 意思表示を取り消しできる。 ※後からさらに了承すれば有効な契約になる。    ↓ すべての第三者に対抗できる。 (これがダメなら、強迫→転売で社会は悪が勝ってしまう) 過去の話、新聞、テレビなどでも出てくる、監禁や心神耗弱状態にして、 強迫と同様にするような場合でも、無効です。 巧妙なのは、その後、何かしらの行動(入金とか)で買主が追認したという状況にし、 契約を有効にしてしまうことです。 いまどき少ないかもしれませんが、このようなことがあったら、 すぐに監督官庁(警察?)に駆け込みましょう。 ・詐欺 相手方によって騙されて意思表示をした。    ↓ 意思表示を取り消しできる。 ※追認の効力は強迫と同じ。    ↓ 善意の第三者には対抗できない。 (詐欺の場合、強迫と違って、本人にも落ち度があると解釈) 善意の第三者に対する部分でも分かるとおり、法律では自己責任、 本人の落ち度という点も重く見ています。 本人が完全な被害者の場合は守ってくれますが、 少しでも落ち度があると何かしらの自己責任があります。 詐欺をしてくる相手に、損害賠償を訴えてもどこまで取り戻せるか分かりません。 やはり、信頼できる人に依頼するという点から大事になってきます。 自己完結の取引はできませんので、誰から構わず疑うというのでは、 何にも先に進みません。(気にしだしたら、法律や行政も含めて、 社会そのものまで不信感を持ってしまいます) 後からトラブルになって相談されてくる方を見ていると、共通して言えることは、 不動産取引の土壇場になって突然不信感(相手が悪いケースも多いですが)に 襲われることが多いようです。 具体的な動き出し(物件探し選定、売却活動開始)の前に、 まず信頼できるパートナーを先に探すことが大事です。  ◆契約の目的に何かしらの問題がある場合 ・可能性 契約する対象が存在していない。    ↓ 契約そのものが成立していない。 ※意思表示をさせてしまった責任はあるが、契約の債務はない。 ・客観的な事実 すべてが確定する必要はないものの、社会的に通用する程度の 客観的な事実は定めていることが必要。 例:千葉県のどっかの土地100坪・・×   売主誰々所有の土地のうち100坪・・○ ・適法性 公の秩序、法律に反する時は無効。 (賭け麻雀の約束は、これに抵触し、無効です) これらの目的に関する部分は、不動産業者がごく普通にしていれば、 特段と問題にはならないでしょう。 法律を守るという概念がない違法な業者は分かりませんが。 ≪法律的な解釈などは、住宅新報社「宅地建物取引の知識」を参照致しました≫ 今回もちょっと自分では力作と思っていますが、どうでしょうか。 日常、無意識の中で理解していても、これを文章に起こしてみるのは、 作文が苦手な私にとって、ちょっと大変なのです。 よっぽど口で喋ったほうが分かりやすくて簡単なのにと思うこともしばしば。 前回も今回も、民法の規定に関する部分は、 当事者も不動産業者もなかなか意識しないところですが、 一番基本の大事な部分ですから、きちんと押さえておくことが必要です。 立場から不動産に関わるような内容で記載しておりますが、 民法は日常生活すべてに関わってきますので、 不動産取引以外にも大事ですから、忘れずに刻み込んでください。 特に一番起こりやすいのは、心裡留保でしょうか。 つい冗談を言ってしまうのもほどほどに。 [cc id=42 title=”下部バナー”]